『誰にとっても優しく、温かいまちづくり』

2020年に始まったコロナ禍は、私たちの日常生活を一変させました。人と人が直接ふれ合うことに、幾重にもバリアが張られたような生活は、3年にもわたりました。この生活は出口が見えつつあるものの、出口に至る道のりを探す日々はこれからも続きます。一方で、首都直下地震を含む大地震はいつ起きるとも知れず、大雨・台風などの気象災害も、年々脅威を増しています。コロナの終息前に災害が起きる可能性は大きいのです。感染症と災害が同時に発生することを想定し、誰もが密を回避した避難行動をとれるよう、体制を作らなければなりません。
災害発生時の避難について考えるとき、高齢の方、障がいのある方、小さなお子さんを持つ方など、いわゆる「災害弱者」と呼ばれる人たちの視点が欠かせません。「災害弱者」の安全な避難を考えることは、何が人を「災害弱者」にしているのかを明確にし、解決することです。これは、社会のバリアをなくしていくことにつながります。
誰でも生涯にわたって元気で居続けられるわけではありません。年齢を重ねることによって、あるいは、病気や怪我によって、大勢の元気な人たちと同じ行動がとれない時があるものです。私にも、足の骨折で松葉杖での生活を余儀なくされた経験があります。短い期間でしたが、ほんの少しの段差や、放置自転車などによって、行動が制限されたり、危険にさらされたりすることが何度もありました。これらの不便や危険は、まさにバリアでした。バリアは疎外感を生み、社会を寒々しいものにしてしまいます。まちの中から不便や危険の元を取り除き、バリアフリーを実現していくことは、一部の人だけでなくみんなが過ごしやすくなるために必要なことです。
私のテーマは、「誰にとっても優しく、温かいまちづくり」です。私はこれからも、防災とバリアフリーに取り組み、未来かがやく調布のために活動してまいります。

川 畑 英 樹